「バルコニーは建築面積に含まれる?」「間違った面積計算で申請トラブルになったらどうしよう…」と不安に感じていませんか。
実際、建築基準法の「建築面積」と「床面積」「延べ床面積」「敷地面積」はそれぞれ定義が異なり、バルコニーの算入要否や基準も非常に複雑です。例えば、幅が2mを超えるバルコニーや、3方を壁で囲まれたインナーバルコニーは、通常のバルコニーとは異なり建築面積や延べ床面積に算入されるケースがあるなど、正しい判断には最新法令や行政解釈の知識が不可欠です。
2025年の法改正や行政指導では、特にバルコニーの開放性・袖壁・柱・屋根の有無によって面積算入が変わり、申請漏れが発生しやすいポイントとして注意喚起されています。実際に面積誤認による指導ややり直し工事も、都市部の住宅で少なくありません。
この記事では、公的機関の基準や最新の実務ポイントをもとに、バルコニーと建築面積の正確な関係を具体的事例・最新データとともに徹底解説。損失やトラブルを未然に防ぎ、ご自身の不安を根本から解消できる知識をお届けします。
疑問を一つずつ整理しながら、最後までじっくりご覧ください。
建築面積とは何か?基礎知識とバルコニーとの関係を徹底解説
建築面積の定義と床面積・延べ床面積・敷地面積の違い
建築面積は建物の外壁や柱の中心線(壁芯)で囲まれた部分の水平投影面積を指します。住宅やマンションで敷地に対する建ぺい率を計算する際、この建築面積が基準となります。一方、床面積は各階ごとの床の面積であり、延べ床面積は全ての階の床面積を合計した数値です。敷地面積は建物が建てられる土地全体の面積を示します。これらの用語は混同されやすいですが、計算や法的規制、住宅ローン審査にも関わるため、正確な理解が重要です。
建築面積と床面積・延べ床面積・敷地面積の比較
用語 | 定義 | 主な用途 |
---|---|---|
建築面積 | 建物の外壁や柱の壁芯で囲まれる部分の水平投影面積 | 建ぺい率、許可基準 |
床面積 | 各階ごとの床の面積 | 延べ床面積の算入 |
延べ床面積 | 全階の床面積の合計 | 容積率、税金、住居規模判定 |
敷地面積 | 建物の建つ土地全体の面積 | 建ぺい率・容積率計算 |
建築基準法に基づく建築面積の算定ルールとバルコニーの扱い
建築基準法では、バルコニーの建築面積への算入可否が詳細に定められています。バルコニーが建築面積に含まれるかは「突出幅」と「囲い方」が基準です。以下のポイントに注意してください。
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バルコニーの突出が1m未満の場合
原則として建築面積には含まれません。ただし、両側が袖壁や柱で囲まれた場合は不算入にならず、算入対象となることがあります。
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1m以上突出する場合
先端から1mの範囲が建築面積に算入されます。例えば1.4m突出なら1.0m分が算入対象です。
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インナーバルコニーや屋根付き・3方壁囲いの場合
屋根や壁に囲まれていると建物内部扱いとなり、建築面積及び延べ床面積に含まれます。この場合「バルコニー床面積・開放性・袖壁」の条件が大きく影響します。
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バルコニー柱・壁芯の取扱い
表面積の算定には「壁芯」基準を用い、柱が建物の外周に接しているかもポイントとなります。
よく誤解されがちなテラスやウッドデッキ、ルーフバルコニーも同様に突出や囲い方・屋根有無によって取り扱いが異なります。
最新の法改正及び行政指導の動向と建築面積計算への影響
近年の行政指導や法改正によって、バルコニーの建築面積算入判断にはさらなる明確化が示されています。とくに2025年以降、開放性に関する基準が強化され、「バルコニーが開放的であるか」「袖壁の有無」「バルコニー下の空間活用」など細かな判定が求められるようになりました。
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グレーチングバルコニー等の床構造や開放性
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2m以上奥行のバルコニーや3方壁で囲まれた場合の容積率判定
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庇やポーチ・屋根構造も合理的な位置関係で判断
行政の解釈や現場ごとの判断が分かれやすいため、設計段階から建築士や専門業者に相談し、建築確認申請時に最新の法令・地域特性に沿って細部を詰めることが重要です。信頼できる専門家と連携し、建築面積・バルコニー面積の算定トラブルを未然に防ぐことが快適な住まいづくりへの近道です。
バルコニーが建築面積や床面積に含まれる条件と具体的判断基準
バルコニー幅1m超・2m超の扱いと階層別算入基準
バルコニーが建築面積や床面積に算入されるかは、幅や階層によって明確な基準があります。まず、バルコニーの幅が1m未満の場合は、多くの場合建築面積には含まれません。しかし、1m以上突出するバルコニーの場合は、外壁から1mの範囲が建築面積に含まれます。これを下記のテーブルで整理します。
バルコニーの条件 | 建築面積への算入 | 床面積への算入 |
---|---|---|
幅1m未満 | 原則含まれない | 原則含まれない |
幅1m以上(2階以上含む) | 1m後退線まで算入 | 条件による(奥行2m超や3方壁など) |
奥行2m超 | 条件により一部または全部算入 | 条件により算入 |
ポイント
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1階・2階とも規定適用あり
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3方壁や天井付きは算入されやすい
この基準を把握することで、住まいや物件の面積トラブルを避けることができます。
開放性・袖壁・柱・壁芯の有無による算入判定
バルコニーの算入基準は「開放性」や「袖壁」「柱」「壁芯」などの構造的特徴によって大きく変わります。例えば、両端に袖壁や柱がない「開放性の高いバルコニー」の場合、原則として建築面積に算入されません。逆に、袖壁や柱で囲まれた閉鎖的なバルコニー、壁芯内におさまる構造のものは建築面積に算入されるので注意が必要です。
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算入される例
- 壁芯で囲われたバルコニー
- 両側袖壁付きのバルコニー
- 柱が端部に設置されている場合
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算入されない例
- 片持ち構造で開放性が確保されている場合
- 柱や袖壁がないグレーチングバルコニー
また、バルコニー下の空間利用やテラス、ポーチも判断基準が類似します。設計段階でどこまでが算入対象かを必ず確認しましょう。
屋根付きインナーバルコニーと3方壁囲いバルコニーの特例
屋根付きのインナーバルコニーは屋内の一部とみなされるため、多くの場合、建築面積・床面積どちらにも含まれます。特に「3方壁で囲まれ、屋根が一体化しているバルコニー」は、延べ床面積にも算入されるのが原則です。
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屋根付きインナーバルコニー:
- 建物本体に内包され、外と遮断される設計
- 延べ床面積・建築面積ともに算入
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3方壁に囲まれ天井付きバルコニー:
- 屋外空間でも三方以上壁で囲まれ構造的に室内と一体
- 算入対象になりやすい
このようなバルコニーは使い方や居住性に優れる一方で、面積規制に注意が必要です。リフォームや新築計画時には、面積規定を十分考慮し設計を進めましょう。
バルコニーと関連設備の違い:テラス・庇・ポーチ等との面積計算比較
テラス・庇(ひさし)・玄関ポーチの建築面積算入ルール
建築面積に算入されるかどうかは、各設備の屋根や囲い、突出寸法の有無で異なります。例えばテラスは、屋根が設けられていてかつ側面が囲われている場合、建築面積として算入されることが一般的です。一方、庇(ひさし)の場合、外壁面からの突出が1メートル未満であれば建築面積には含まれません。玄関ポーチの場合、屋根付きで外壁などに接しており、かつ柱や袖壁で囲われていれば建築面積に算入されます。
設備 | 屋根有無 | 囲いの有無 | 突出寸法 | 建築面積算入 |
---|---|---|---|---|
テラス | 有 | 有(囲い有) | 1m以上 | 算入 |
庇(ひさし) | 有 | 無 | 1m未満 | 不算入 |
玄関ポーチ | 有 | 有(袖壁等) | – | 算入 |
強調されるポイントは屋根の有無と囲い方、そして1mルールです。
バルコニーとサービスバルコニー・ルーフバルコニーの扱いの違い
バルコニーは、外壁からの突出が1メートル未満の場合は建築面積に含まれませんが、両側に柱や壁などで囲まれているときは例外です。サービスバルコニーは主に物干しや給湯器設置のための小規模な設備ですが、建基法上の基準はバルコニー本体とほぼ同一で、1m以上や壁で囲まれた場合に算入となります。ルーフバルコニーは階下の屋根上に設けられるタイプで、側面や屋根の有無、開放性などの条件によって算入可否が決まります。
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バルコニー:突出1m未満は算入しないが壁で囲むと算入
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サービスバルコニー:条件でバルコニー同様の算入処理
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ルーフバルコニー:建物の用途・構造により算入の判断が分かれる
部屋の延べ床面積や建ぺい率にも影響するため、用途だけでなく構造面での確認が重要となります。
各設備の計算に関わる共通ルールと例外ケース整理
建築面積や延べ床面積の算入ルールには共通項も多く、特に「屋根付き」「囲いの有無」「1mルール」「柱や袖壁」「開放性」といったポイントが判断基準となります。例えば、バルコニーをはじめとした設備が3方壁や屋根で覆われている場合は原則として算入。またテラスやウッドデッキ、ポーチも、屋根がつき囲いがあれば算入されますが、完全に開放的な場合や突出が短い庇は除外です。
【例外ケース】
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バルコニーの下に部屋や部材がない場合で突出1m未満:不算入
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インナーバルコニーや屋根の付いた構造:算入
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ポーチや庇でも囲みが無い、または独立柱のみの場合:不算入
計算は基地線から壁芯・柱芯を基準とし、最大突出部と囲いの有無を確認することが大切です。計算誤りは土地利用や売却時のトラブル原因となるため、図面・申請前に必ず確認しましょう。
建蔽率・容積率とバルコニー:計算ルールと設計への影響
建蔽率におけるバルコニーの算入条件と具体的判定
建築面積にバルコニー部分が算入されるかどうかは、建蔽率の計算に大きな影響を及ぼします。一般的には、バルコニーの突き出し部分が1メートル未満の場合や、両側が解放されている場合には建築面積に含まれません。ただし、袖壁や柱で囲まれている場合は例外となり、1メートル未満の突出でも建築面積に算入されるケースがあります。バルコニー下の空間も建築基準法上で条件が異なるため注意が必要です。建蔽率を算出する際の基本ルールを以下にまとめます。
判定条件 | 建築面積への算入 | 備考 |
---|---|---|
突出1m未満 | 含まれない | 解放性が高い場合 |
袖壁・柱あり | 含まれる | 構造で囲まれている場合 |
突出1m以上 | 1m後退まで含まれる | それ以上は含まれない |
屋根付き | 含まれる | インナーバルコニー含む |
建築面積の取り扱いによって、建蔽率制限を超えないように注意しましょう。
容積率への影響と延べ床面積に含むケースの整理
容積率計算においてバルコニーが延べ床面積に含まれるかどうかは、居住空間の広さや最大建築可能面積を決める上で極めて重要です。原則として、バルコニーは延べ床面積には含まれませんが、「屋根付き」「三方以上を壁で囲う」「奥行2メートルを超える」などの条件を満たすと算入対象となる場合があります。特にインナーバルコニーやルーフバルコニーは注意してください。具体的なケースは以下の通りです。
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奥行きが2メートルを超えるバルコニー
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壁または袖壁・柱で三方向以上が囲まれているバルコニー
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屋根付きやインナーバルコニー
これらに該当する場合、建物全体の容積率を厳密に計算する必要があり、場合によってはプランの見直しも求められます。
屋根付きやインナーバルコニーの建ぺい・容積率への特殊扱い
屋根付きバルコニーやインナーバルコニーの場合、建蔽率・容積率いずれも通常のバルコニーよりも厳しい基準が適用される場合があります。特に、屋根が1メートル以上張り出している場合や、三方を壁や袖壁で囲った設計では、建築面積と延べ床面積の両方に算入されるケースが増加します。このため、バルコニーの開放性や袖壁の設計には十分な留意が必要です。
以下にチェックポイントをまとめます。
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三方囲み+屋根付き=高確率で両面積に算入
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開放バルコニーは緩和措置が活用できる場合あり
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インナーバルコニー設計時は建ぺい・容積率上限に十分注意
仕様や地域、用途地域ごとの基準も参照しながら、最適なプランを検討してください。
バルコニー増築・リフォーム時の建築面積計算と申請手続きの実務
バルコニー増築で建築面積が変わるケースと届出義務の判断基準
バルコニー増築時には、建築面積および建ぺい率にどのような影響が生じるかを丁寧に確認する必要があります。特にバルコニーの突出が1m未満か以上か、また「袖壁」や「柱」に囲まれているかで建築面積の算入基準が異なります。
下記のポイントを押さえることで、届出義務の判断ミスによるトラブルを防げます。
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バルコニー先端の突出が1m未満か、かつ両側が開放:原則として建築面積に含まれません
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1m以上突出、または両側が壁・柱で囲まれている場合:壁芯やバルコニー芯で囲まれた部分が建築面積に算入されます
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増築による建築面積合計が10㎡以上増える場合:建築確認申請が必要
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建ぺい率上限を超えないよう確認が必須
必要なフローを以下に整理します。
判定項目 | 内容 |
---|---|
バルコニー突出 | 1m未満か1m以上かを測定 |
柱・袖壁 | 囲まれる場合は算入対象 |
届出義務 | 建築面積10㎡超の増加で要申請 |
リフォームによる面積変動で注意すべきポイントとトラブル防止策
バルコニーリフォームにより床面積や建築面積が変動するケースは多くみられます。例えばテラスや屋根付きバルコニーの設置、インナーバルコニーへの変更などです。特に「開放性1/2基準」や「壁芯計算」を正確に理解していないことで、建ぺい率に影響が出てしまったり建築基準法違反となるトラブルが発生することがあります。
主な注意点
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床面積と建築面積の違いを把握し、算入基準を満たすか確認
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バルコニー下部(グレーチング・軒・ひさしを含む)や袖壁・柱の有無で取扱いが変わる
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建築面積・床面積・延べ床面積を混同しないこと
トラブル事例
- バルコニーの開放性を満たしていないのに面積算入せず、違反指摘を受ける
- 囲われバルコニー増設による届出漏れで使用停止命令
防止策リスト
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必ず施工前に建築士に確認
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袖壁・開放割合など現状図面を詳細にチェック
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地域特有の基準(用途地域や条例)を調査
行政機関の相談窓口活用法と最新ガイドラインの紹介
バルコニーの面積計算やリフォームに関する疑問は早めに専門機関へ相談することで、法的リスクを大幅に減らすことができます。各自治体の建築指導課や建築士会では、面積算定・建築確認申請の要否・地域独自の基準まで相談可能です。
相談窓口の利用手順
- お住まい地域の自治体の建築指導課をウェブで検索
- 建築面積・バルコニー関連の相談予約または電話相談
- 最新ガイドラインや過去の事例集を参照し、必要書類を準備
活用できる資料例
資料名 | 内容 |
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建築基準法ガイドライン | バルコニーや庇の建築面積算入基準 |
各自治体の建ぺい率・用途地域の詳細 | 届出義務や制限内容の解説 |
地域リフォーム支援窓口一覧 | 補助金や相談先情報 |
専門家や自治体への相談は、住まいづくりや資産価値維持に欠かせません。強調したい点として、予期せぬトラブルを防ぐためにも正確な最新情報をもとに各種手続きを進めてください。
バルコニー設計・施工時のコスト・利便性・資産価値を多角的に分析
バルコニーの設計費用相場と施工グレード別価格比較
バルコニーの設計や施工費用は、素材や構造、設備のグレードによって大きく異なります。一般的な新築住宅の場合、バルコニーの設計費用はおおよそ10万円から20万円が目安です。施工費用については、標準的な鉄骨製バルコニー(約4㎡)で30万円~50万円程度となります。高級仕様のガラス手すりや耐候性素材を使用した場合などは60万円以上になることもあります。
設計費・施工費の目安を下記のテーブルにまとめます。
施工グレード | 設計費用(目安) | 施工費用(4㎡あたり) |
---|---|---|
標準グレード(金属手すり) | 10~15万円 | 30~40万円 |
ミドルグレード(アルミパネル) | 13~18万円 | 40~55万円 |
ハイグレード(ガラス・タイル) | 15~20万円 | 55~70万円 |
住宅の階層や構造、工法により費用が前後するため、計画時は詳細な見積もりが重要です。
バルコニーの有無や種類が住宅資産価値に与える影響
バルコニーの有無やその種類は、住宅の資産価値に大きく影響します。バルコニーがある住宅は、自然光や風通しの確保、開放的な空間演出が可能となります。特にルーフバルコニーや大型インナーバルコニーは、屋外リビングや多用途スペースとしての利用価値が高まり、売却時や賃貸時の評価が向上しやすい傾向です。
一方で、バルコニーの設置には建ぺい率や建築面積の制限、定期的なメンテナンス負担が発生する点にも注意が必要です。立地や用途地域ごとの建築基準によっては、1m以上突出するバルコニーが建築面積に算入され、結果として居室部分のスペースが圧縮されることもあります。
メリット
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居住者への開放感と利便性向上
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資産価値の向上や住宅の希少性アップ
デメリット
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定期的な修繕・防水メンテナンスが必要
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建築基準法や地域制限による面積調整が必要
このように、十分な検討と計算により設計することでバルコニーの価値を最大限引き出すことが可能です。
利便性・安全性・メンテナンス性の観点からの設計ポイント
バルコニー設計では利便性はもちろん、安全性とメンテナンス性も重視されます。屋根の有無は、雨天時の使い勝手や木材・金属部材の耐久性に影響します。壁芯計測のルールや開放性(例えば開口が2方向以上あるかどうか)は、建築面積の算出に直結し、住宅設計で重要な判断材料となります。
長く快適に活用するための主な設計ポイントは以下の通りです。
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安全性の確保
手すりの高さや袖壁の設置、滑り止め付き床材の採用などが重要です。
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メンテナンス性
防水仕様や排水設備、点検口の配置で長期利用時の負担が減ります。
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開放性と快適性
屋根付き・2方向開放型のインナーバルコニー、袖壁や柱のバリエーションも検討対象です。
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耐久性
耐候性素材や防錆処理など、劣化防止にも配慮しましょう。
これらを総合的に判断し、ライフスタイルや建物用途にふさわしいバルコニーを設計・選定することで、住まいの価値と満足度がさらに高まります。
バルコニーや建築面積の計算でよく見落とされる注意点と複合要素の整理
バルコニーと出窓・ロフト・格子など設備の複合評価
バルコニーの面積算入では、出窓やロフト、格子などの複合設備の関係性も重要な判断ポイントです。バルコニーと一体的に設計された出窓やロフトがある場合、建築基準法での「開放性」や「突出長さ」の評価が不可欠となります。具体的には、バルコニーの突出が1メートル未満でも両側を袖壁や柱に囲まれている場合は建築面積に含まれます。また、格子やグレーチングを用いて開放性を保ちつつも、バルコニー下の利用を考慮した設計では、法令上の判断基準を満たしているかを事前に専門家と確認することが大切です。建築面積の計算では「壁芯」や「バルコニー芯」など線引きにも注意が必要です。
設備構成 | 建築面積への算入目安 |
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出窓(バルコニー突出1m未満、囲い無) | 含まれない場合が多い |
ロフト付きバルコニー(屋根有・袖壁有) | 含まれる |
格子仕様・開放性高いバルコニー | 開放性次第で除外 |
バルコニー下活用スペース(囲い有) | 算入(用途・構造次第) |
建築確認申請に必要な書類と計測方法の正しい理解
バルコニーや関連設備を含む建築面積を正しく申請するためには、事前に必要書類と計測手順の把握が欠かせません。設計図面にはバルコニーの詳細な寸法、袖壁や柱の位置、屋根や手すりの有無が明記されている必要があります。申請時点で「建築面積計算書」「仕上表」「立面図」「平面図」が求められ、特にバルコニー部分の芯から芯までの長さや、囲いの状況を明確にすることがポイントです。計測時は壁芯・柱芯ラインから突き出し部分を正しく測定し、条件によっては部分的に違う評価となるケースもありますので注意してください。
書類名 | 必須項目 |
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建築面積計算書 | 長さ・突出寸法・囲い状況など |
平面図・立面図 | 材質、囲い有無、開放性の示記 |
仕上表 | バルコニー床・壁・手すり素材、屋根の有無 |
設計段階で役立つ実務的チェックリストの提示
実務担当者や施主自身が建築面積やバルコニー算入部分を適切に管理するためのチェックリストを以下にまとめます。設計初期・確認申請・工事完了前の各段階で確認しておくことで、トラブルや手戻りのリスクを最小化できます。
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バルコニーの突出長1m未満か1m以上か明確化
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両サイドの柱や袖壁による囲われ方を確認
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グレーチングや格子など床仕様の開放性
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バルコニー下スペースの利用用途・囲いの有無
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出窓・ロフトなど他の設備との一体評価
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平面図・立面図・計算根拠資料の整合性
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各設備の寸法を正確に現場で実測、図面と比較
各チェック項目を事前にクリアにし、法規や地域要件に対応できる体制を整えてください。これらのポイントを押さえることが、理想の住まいづくりとトラブル回避につながります。
建築面積とバルコニーの算入に関するよくあるFAQを体系的に解説
建築面積とバルコニーの算入に関する主要質問10選
下記は建築面積とバルコニーに関し、不動産取引や建築現場で特に多い疑問とその回答です。面積算入の判断基準やよく使われる関連ワードも踏まえて整理しています。
質問 | 回答内容 |
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バルコニー面積は建築面積に含まれる? | 突出部分が1m未満で三方開放の場合は含まれませんが、1m以上または囲いがある場合は含みます。 |
1階テラスや屋根付きウッドデッキは? | 柱や屋根・袖壁があり開放性が不足する場合、建築面積に算入されることがあります。 |
バルコニーの下の空間は? | 一般的には建築面積に含まれませんが、屋根や壁で囲われて居室的用途の場合含まれることも。 |
バルコニーの開放性と壁芯の扱いは? | 二面以上が完全に開放されていれば1m未満で不算入、壁芯で算定するのが原則です。 |
インナーバルコニーの面積扱いは? | 屋内的(屋根付き)なら延べ床面積・建築面積双方に算入されます。 |
バルコニーと庇の違いは? | 庇は張り出し1m未満不算入、バルコニーは構造や開放性で判定します。 |
バルコニーのグレーチング(格子)構造は? | 床が格子でも面積として計上されるケースが多いです。 |
バルコニーの袖壁や柱とは? | 両側を壁や柱で囲まれていると開放性が不足し建築面積に含まれやすいです。 |
延べ床面積との違いは? | 延べ床面積は壁に囲まれた室内空間のみ、建築面積は出っ張りや一部の外構も対象です。 |
床面積算定で注意すべきバルコニーの奥行きは? | 2m以上で居住性や用途によっては算入例もあり法令や地域規定を確認が必要です。 |
法改正や地域差に関する疑問点の具体解決
建築基準法の改正や各自治体の指針によって、バルコニーやテラスの面積扱いは変わる場合があります。特に都市計画区域や用途地域、地域独自の条例などにより、算入基準や開放性の捉え方が微妙に異なる点が重要です。また、ここ数年の法改正によってインナーバルコニーや屋根付きテラスの取り扱いが変更となるケースもあるため、建築士や行政担当窓口への事前相談が求められます。
実務上では、例えば千葉県の九十九里町のような沿岸部では潮風や強風対策から耐久性重視の設計が推奨され、結果的に開放性が制約されることで建築面積へ算入されやすい傾向があります。必ず申請図面や現地写真などで根拠を明確にし、最新の条例や国土交通省の通知を確認することが安心につながります。
誤解されやすい面積計算や建築基準の落とし穴を防ぐ注意点
面積計算で最も多い誤解は、「バルコニーなら全て建築面積から除外される」といった先入観です。以下のようなケースでトラブルが起きやすいため十分な注意が必要です。
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バルコニーの三方が囲われているが開放性を誤認し、誤って不算入として申請してしまう
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インナーバルコニーの屋根や側壁の有無を正しく判断できず、結果的に延床面積や建ぺい率オーバーとされる
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現場で計測する芯や壁芯の起点を間違え、算定面積に食い違いが生じる
バルコニーに関する建築基準法や地域ルールを事前に照会し、疑問点は早期に専門家へ相談しましょう。下記のポイントもあわせてチェックしてください。
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三方開放性、突出寸法(1m/2m)、袖壁や柱、屋根の有無は必ず現場確認する
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旧法時代の物件や増改築時には特例措置や経過措置が適用される場合がある
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疑義が生じた場合は必ず図面へ注釈や根拠を明記し、役所へ事前協議を取る
しっかりとした知識と根拠を持つことが、トラブルの防止と安心安全な設計・建築につながります。